|
ビリヤード
*****ビリヤード*****
レイ(夫)の大学時代の友人デーブにイスラエルと4人でハングアラウンド。
ユニオンスクエアからビリヤード場まではキャブで行く。ブロードウェイより東
側ハウストン沿いにあるビリヤード場へは何度か行ったことがある。
12丁目にあるウェブスターホール(クラブ)を目にしたレイが言った。
「デーブが、以前ウェブスターホールに居るからって一人で後から追いかけけど
見つからなかった事がある。バーの傍にイスラエルがビール片手に立っていたか
ら、あーイスラエルが居た!デーブは?とキョロキョロしてるうちイスラエルさ
え見失った。」
「砂漠の蜃気楼でも見たってような口ぶりだね、このマンハッタンで。」とデー
ブ。
「ねー。デーブはカラオケって行ったことある?」と、ブラックの兄さんがカラ
オケに行くのか聞いてみた。
「そうだなー皆カラオケって行くやつは多いが、俺はシャワールームでしか歌わ
ない。」
「どんな曲?」
「R&Bとかヒップホップだね。」
「イスラエルはカラオケやったことある?」
「もちろん。楽しいよ。」とオタクなイスラエルから意外な答え。
レイも意外だと感じたらしく驚きの声をあげる。
「えーっ?イスラエルがカラオケやるの?なに歌うの?」
「ギターの音がバリバリのロックンロールに決まってるだろ。」とデーブが、か
らかう。
「普通のポップミュージックだよ。」とイスラエルは冷静に答える。
話をしてる最中、私の頭の中では電気信号が勝手に動き出し、脳の奥底に眠って
いる古い引出しを開けていた。私の記憶が確かならば・・・ウェブスターホール
といえば、数年前、まだレイと付き合っていた当時に「友人で門限のあるやつが
いて30歳も近づいてるのに12時以降は外へ出たことが無いって言っててさ。
初めて明け方まで僕らとウェブスターホールに居たから、デーブと俺でブルック
リンの彼の家まで送ったんだ。4時に朝帰りしたら母親が、まだ起きて待ってい
たんだよ。叱られたのかなー。」とレイが門限のことに関して大笑いしていた記
憶が甦った。もしや、それはイスラエルのこと?
ハウストンのビリヤード場へ到着。
ビリヤード場はタバコくさい。髪の毛の芯まで臭いが染み込むほどだ。
10代から20代の若い男性を中心に女性も数名いる。チャイニーズが多いのは
チャイナタウンが近いからだろう。
デーブはプロ並の腕前、さすがビリヤードのレストランを開きたいと言ってるだ
けあって、
ストレートに白ボールでボールを突いて穴に落とすのは勿論のこと、側面から跳
ね返った白ボールがボールを突いて穴に落とすというテクニックも披露した。
「じゃあ、今度は誰がブレークする?」とデーブが一人で仕切ってブレークする
のが申し訳ないと聞いてきた。
「イスラエルやってみれば?」と私が促す。
「OK」イスラエルは力をこめてボールを突いた。
白いボールは三角に整列しているボールに触れるどころか宙を舞い、壁に鈍い音
をたててぶつかった。デーブとレイは無言のまま眺めていた。
「もう一度、がんばってーイスラエル。」私は声援をおくる。
二度目の挑戦。
イスラエルは緊張した面持ちで白いボールを突く。再びボールは宙を舞う。そし
て壁に鈍い音をたててぶつかった。
「もういい。俺がやる。」デーブが白いボールを拾ってブレークを始めた。
「ほら、ごらんよ。壁にたくさんボールのぶつかった跡がある。皆同じように壁
にボールが跳んじゃうんだ。僕だけじゃないんだよ。」とイスラエルは悔し紛れ
に私に説明するのだった。イスラエルは大人しくてもやっぱりアメリカン、失敗
を認めないんだなーと感心する私。
ゲームは、デーブと私対レイとイスラエルというチームを組んで、5回戦で3回
デーブと私チームが勝った。2回の負けた理由は、8ボールを落とすときに白ボ
ールを私が落としてしまったミスからだ。
ゲーム終了後は夜中の12時を回っていた。
「僕はタクシーで帰るよ。」とイスラエル。
私たちは地下鉄の駅に向かった。
「イスラエル。2回も壁にぶち当てたね。1度ならわかるけど2回続けてだもの。」
思い出し笑い。
「あいつナーバスになってたんだなーきっと。」とデーブが言う。
「そういえば、門限があった男っていうのはイスラエルのこと?」と私がレイに
聞くと、
「そうそうイスラエルのことだよ。」と答えた。
なかなか味のあるキャラクターのイスラエル。私は、とても気に入った。
来月は再びNYアップステートのバッファローからデーブがガールフレンドを
連れてやってくるので、皆で集まることになりそうだ。
INDEX
|