今回ちょっぴり長いですが最後のお知らせまで、読んでくださいね。
*****ビバ高齢出産!*****
その日、ブルックリンのベッドフォードからマンハッタンへ戻るはずが、間違え
てブルックリンの奥地へ向かう地下鉄に乗ってしまった。ブラックの兄ちゃんも
数多く、なんだかハーレムに帰る時と乗客が似通ってきたなぁーなどと思ってた
が、かなり行くまで気づかなかった。
車内では、たまにラジカセのボリューム大になり、ラップの音楽が鳴り響く。さ
すがはブラックの兄ちゃん連中。音楽が鳴っても「うるさい!」などと文句をた
れることは無い。ただただリズムに合わせて身体を揺すっているのだ。
隣に座っていたヨレヨレのTシャツでブレードのオヤジも居眠りしてるのかと思
ってたら、リズムに合わせて上下に頭が動き出した。カクカクと頭を動かす様は
コメツキ・バッタを彷彿とさせる。それにしても手にしてるスキャナーとプリン
ターのボックスはなぜかオヤジに似合わない。まさか盗んだんじゃないよね。
しかも袋はパステルカラーでBABY・BABYという文字が並ぶベイビー・ショッ
プの袋。ちょっと待ったーどっからどう見ても中身と袋が一致してないぜオヤジ
ー。
次の駅で太ったラテン系の50代前半くらいの女性が3歳くらいの坊やを右手で
引いて、左手に乳母車を押して乗ってきた。隣の上下運動のオヤジは席を立つと
「マミーどうぞ、ここへ座ってください。」と席を譲った。
親切なのだ。その上オヤジは前歯が二本も折れているせいか憎めないスマイル。
席に着いたラテン系の女性とオヤジは、お約束のように大声で世間話を始めた。
「26年ぶりに生まれたの。」というオバちゃんの言葉が私の耳をピクリと動かし
た。なぬっ?オバちゃんの子供かい。「娘は今、29歳なのよ。」なんだー聞き間違
えかぁーやっぱり娘の子だよね。ほーっと安楽の地へ誘われる、それでもやっぱ
り気になるオバちゃんの喋り。
ガーッハッハッと豪快に笑いながら「先月ママが亡くなって、今月、亭主の叔母
が亡くなって、とにかくここ最近で5人も身内が亡くなったの。」身内が死んど
るのに何で笑っとるんじゃい。
電車の揺れる轟音で聞き取りにくいのだが、それでもしつこく話しぶりを聞いて
ると、やっぱり坊やはオバちゃんの子らしい。
そんな中に突然、ドアを挟んで隣の席に座る乳母車に乗ったブラックの2歳くら
いの女の子が奇声を発した。「ベイビー・ベイビーの袋だぁ〜わたちもほちぃー」
と、スキッ歯のオヤジのスキャナーが入ったベイビー・ショップの袋を指差す。
「あれは、おじちゃんのモノよ!」若い母が説明する。オヤジは再びニコヤカな
スマイルで若い母に問いかける「お子さんはいくつ?」「2歳なの」若い母も大声
で答える。
するとラテン系の坊やが女の子にオモチャを見せた「これはどう?」女の子は目
を丸くして欲しそうに手を伸ばした。坊やは右に左に揺れる車内を女の子の方へ
向かって歩いてく。さすがラテン系、子供の頃から女に抜かりない。
その姿を、目を細くして見守るラテン母。とにかく坊やが可愛くてしょうがない
といった雰囲気だ。20歳くらいで前の子を産んだとして29歳なら、どう考えて
も50歳は近いはず。
最近、友人と「日本は高齢出産を敬遠するけど、アメリカでは生理さえある限り
は何歳でもOKって感じじゃない?アメリカはやっぱり医療技術が進んでるんだ
よ。」と話していたばかりだったので、オバちゃんを見て納得させられた。
ビバ高齢出産!オバちゃんのタフな姿を見ていると、私も高齢出産しても大丈夫
なように身体を鍛えておかなくちゃーと改めて覚悟をきめる。しかし、タフなオ
バちゃんだった。はちきれんばかりの満面の笑顔とパワーを感じる太い腕。
こんな母に育てられるからこそラテン系ってパワフルなのだろう。
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作者より
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な・な・なんと〜近所のレストランをCafeglobe.com用にカメラマンの夏子さん
と取材中、アル・シャープトン様に遭遇してしまった。アル・シャープトン様と
いえばブラックなら誰もが知ってる黒人運動家である。
レイ(夫)も前日に「アルはマイ・メェーン!だ。(奴は男の中の男だぜ)」と豪
語していたばかり。派手なパフォーマンスに近いほどの様々な反対運動をひき起
こしたりするから、ポリスが出る一幕などもあったりする。その向うみずさ加減
がカッコいいのだという。
彼が入ってきた瞬間、目を疑った。「よくできた着ぐるみだ。」と感心していた私。
オモチャのようにトコトコと歩いてテーブルにつく彼の姿は、失礼かもしれない
が「かわいい!」とギューッと抱きしめて、枕の横に置いてあるテディー・ベア
同様に添い寝したいほどであった。
彼の目は丸く輝いていて、ひたむきな情熱がヒシヒシと伝わってくる。私は興奮
で震える足どりで近づいて「日本のライターなんですが、握手してください。」と
強引に握手をせがんだ。硬い握手だが、彼の手のひらは厚くフワフワしていた。
図々しくも手にしていたデジカメで「一枚、写真を撮らせてください。」と、お願
いしたら、ちょっと考えてから「OK」と頷いた。写真を撮った後、私は隣にいる
若い男性と女性秘書みたいな人の顔を見て「感激ですぅー」といわんばかりの満
面の笑みを浮かべてしまった。ただのミーハーなパープリンばばぁ状態であった。
こんなに感激できるのは、彼の他に余すところディンゼル・ワシントンくらいだ
ろう。私の場合、日本の芸能人に会ったとしても、ここまで感激することがなさ
そうだ。
それにしても「野猿」の解散で自殺した女の子の話はいたましい。彼女の中では
「野猿」こそが、この時私が感じたように心を揺さぶられる、たった一つの生き
がいだったのかもしれない。